室温・動的熱負荷計算
※EESLISM(イースリズム)は、建築環境学の第一人者である工学院大学名誉教授宇田川光弘氏らが開発した建築周囲環境および設備システムを含めた多数室動的熱負荷計算プログラム(フリーウェア)で、建築、設備の両方で構成される建築熱環境制御システムの汎用シミュレーションプログラムとして数多くの実績があります。 EESLISM提供者に使用許諾を得て、住宅性能診断士 ホームズ君「省エネ診断エキスパート」に同梱して出荷するものです。また、このEESLISMとホームズ君の連携については、佐藤エネルギーリサーチ(株)、東京大学准教授前真之氏、前研究室メンバーに技術指導を受けて開発を行いました。
操作手順
1. 敷地・平面プランを入力
平面プラン、周辺の隣棟、カーポート、樹木などを簡単入力。
3Dで確認。入力ミスの発見も素早く行えます。
2. 部材構成・遮蔽物の設定
建物を構成するすべての部材を設定します。
ただし、断熱境界については外皮計算モードで行います。直感的なインターフェイスで迷わず設定。
構成する全ての材の熱伝導率と比熱を計算に反映します。
レースカーテンや外付けブラインドなど、省エネ基準の外皮計算で考慮されない遮蔽物の設定。
間仕切り壁や階間の床・天井の熱伝導率も設定可能。部屋間の熱移動も考慮します。
3. 条件設定
算定条件設定では、家族構成、生活スケジュール、暖冷房の運転スケジュール等を設定。推奨設定機能で、標準的な設定を簡単にセットできます。
暖冷房運転スケジュールの設定。部屋ごとにも可能。
計画換気の経路作成も自動で。
設定可能な暖冷房設備
エアコン
壁掛けエアコンによる一般的な暖冷房設備を部屋別に設定することができます。 冷房負荷に応じて、適切なエアコン選定を行うことも可能です。
床下エアコン
床下エアコンによる室温の変化および暖冷房負荷の計算が行えます。
床下空間に対して、区画の分割、熱容量を設定することも可能です。
床暖房(温水式、電気式)
床暖房(温水式、電気式)のシミュレーションができます。
床暖房は寒さを感じやすい足元の温熱感を改善し、頭寒足熱を実現するほか、エアコンで嫌われる気流感がなく、温度ムラのない暖かい空間を実現できます。しかも、施工が簡単で、既存住宅では建物躯体そのものの改善に比べ短期で施工でき、かつ適用建物が多いため、多くの物件で手軽に室内の快適性を向上できるリフォームといえます。
具体的な室温や光熱費のシミュレーションを躯体断熱性能、気象条件を考慮して行うことで、床暖房の導入効果を確認できます。より説得力の高い、営業プレゼンテーションが可能となります。
薪ストーブ、ペレットストーブ
大空間の居室に設置でき、バイオマスエネルギーの活用として人気の高い、薪ストーブやペレットストーブのシミュレーションが行えます。
計算間隔を初期値の60分から15分、10分に変更していただくことで「何分で目標温度に達成するか」の検討ができるようになります。「エアコンと床暖房」といった機器を組合せた場合の暖房費の概算も確認できます。
室温シミュレーション
時々刻々の室温計算を行います。結果は平面図や断面図、グラフでビジュアルに表現します。
シミュレーション結果は動画ファイル(アニメーションgif)に保存でき、タブレット端末やスマートフォントいった、ホームズ君がインストールされていない環境でも施主にプレゼンすることが可能です。
また、5プランまで保存、比較が可能なので、結果の良し悪しがわかりやすいです。
■ 室温 グラフ、平面図
■ 室温 断面図
■ 室温分布グラフ
■ プラン保存・比較
動的熱負荷計算
室温シミュレーションと合わせて、暖冷房で使用するエネルギー量(暖冷房負荷)の計算を行います。
壁や窓、換気設備による熱の出入りを確認できるため、窓の断熱性能強化や、熱交換換気設備の導入検討などに役立ちます。
また、暖冷房費も計算するため、パッシブ設計の効果を施主に分かりやすくアピールすることができます。
■ 暖冷房負荷
熱の収支の内訳の明細を計算。「日射で熱をどのくらい得られているか」「窓と壁とで熱の取得や損失がどの程度の差があるか」などが明確に。
■ 暖冷房費
期間暖房負荷から、能力のあったエアコンを自動選定します。エアコンの立ち上がりを重視する場合は、ワンランク能力の高いエアコンの選択も。瞬時に電気代を計算します。
■ 暖冷房負荷 部屋別明細
部屋ごとの内訳。部屋ごとの暖房負荷、日射取得量、さらには、暖房負荷、冷房負荷、そして、最低温度以下の割合も。
■ エアコン選択 / 実効効率の計算
1時間毎の暖冷房負荷と外気温、および設定したエアコンの能力から、1時間毎のエアコンのエネルギー消費効率の推移を「実APF」(APF:通年エネルギー消費効率)として算出し、グラフで「見える化」。
エアコンの効率や能力不足を簡単に確認でき、建物や生活条件に最適なエアコンを選定可能に。
計算書
■室温・暖冷房負荷シミュレーション(建物概要・計算条件)
■室温・暖冷房負荷シミュレーション(室温)
■室温・暖冷房負荷シミュレーション(代表日室温)
■室温・暖冷房負荷シミュレーション(暖冷房費)
■年間暖冷房負荷
室温シミュレーションエンジンに「EnergyPlus」を追加搭載
より精緻な室温シミュレーションが可能に!
パッシブ設計オプションの「室温シミュレーション・動的熱負荷計算」の計算エンジンとして、世界的に広く使用されている建物の室温・動的熱負荷計算のエンジン『EnergyPlus』※1 version 22.1.0を搭載しました。※1 米国エネルギー省(https://energyplus.net/)より
これにより、エアコンの暖冷房能力の上限を考慮しながら、10分間隔の室温の変化を計算し、精緻な室温シミュレーションが可能となりました。
2025年4月からの省エネ基準適合義務化がスタートすることで評価される外皮平均熱貫流率(UA値)ではわからない、室温や光熱費を
敷地の条件や日当たりを考慮して精緻に予測し、設計することで施主に対して建物の省エネ性能、快適性をアピールする強力なツールとなります。
インテグラルではEnergyPlusを搭載するにあたり、EnergyPlusを用いたホームズ君のシミュレーション結果について実物件での室温実測結果との比較、分析を行いました。 それに基づき、熱容量や換気性能等のパラメータを調整することで、実情に近いシミュレーション結果が得られることを確認いたしました(図1 図2)
さらなるシミュレーション結果の精度の向上を目指して、計測条件のパターンを増やしての実物件計測、シミュレーション結果と実測結果の比較検証は現在も継続中です。検証結果については、「ホームズ君 よくわかる省エネ」にて順次公開予定です。


下に、「従来の計算の場合」(エアコン毎の暖冷房能力考慮しない)と「エアコン毎の暖冷房能力考慮する場合」の暖房時の室温グラフを例に示します。(図3)
20畳の部屋に対して、「従来の計算の場合(図4)」は1時間後に必ず設定温度まで室温が上昇する前提での計算となっています。
一方、「エアコン毎の暖冷房能力考慮する場合(図5)」は、14畳エアコンでは20分で設定温度になり、10畳用エアコンでは1時間かかることがわかります。
こうした、設置する部屋における適切なエアコン能力の検討が行えるようになりました。


「熱流イメージ」表示機能
エアコンの温風・冷風が見える!
「室温シミュレーション」の結果表示機能として、エアコンを運転した際の「熱流イメージ」表示機能を追加しました。
リビングなど空調をする部屋を指定し、エアコンの取り付け位置、吹出し温度、吹き出し角度を設定します。
これだけで、エアコンの温風または冷風が室内をどのように流れるか、分布するかをイメージとして見ることができます。
住んでみたら、エアコンをつけても温度ムラが大きい、あまり暖かく(涼しく)ない、電気代がかかるという不満足な結果とならないよう、設計段階でのエアコン検討にお役立てください。
※本機能をお使いいただくにはパッシブ設計オプションが必要です。
※今後は、エアコン以外の空調機器への対応も予定しています。
【特長】
本機能の特長は、高度なCFD(数値流体力学)シミュレーションを行うことなく、同等の結果を一瞬で得られる事です。
壁掛けエアコンに限定しCFD(数値流体力学)での検証を重ね、住宅規模の建物内部の熱流を表現する事に特化し、処理を簡素化し高速に表現しています。
暖房・冷房両方の熱流を確認できるので、エアコンの取り付け位置、高さの検討等にお使いいただけます。
【検証】
下図に示すのは、3つのソフトウェアで同条件で熱流をシミュレーションした結果です。
①「ホームズ君」の「熱流イメージ」
②市販のCFDソフトウェアA
③市販のCFDソフトウェアB
3つのシミュレション結果が概ね一致していることが確認できます。
CFDソフトウェアでは、入力のための前提知識の習得が必要であり、収束条件により処理時間は異なりますが、5分程度から1時間程度かかる場合があります。
ホームズ君は設定が簡単で、表示までの処理時間をほぼ要さず即座に結果が見られます。


ホームズ君「省エネ診断エキスパート」パッシブ設計オプション メニュー

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