| 偏心率と剛心 |
| (1) 偏心率の意味 | |
| 図に示すように、地震力は階の重心に作用すると考えて良いでしょう。このため、建築物は水平方向に変形するほか剛心周りに回転します。 重心と剛心との距離の大きい(偏心の大きい)建築物にあっては、部分的に過大な変形を強いられる部材が生じます。 それらの部材の損傷により、その階の耐力が低下し、地震エネルギーの集中をまねくこととなります。 偏心率とは、重心と剛心のへだたりのねじり抵抗に対する割合として定義され、その数値が大きい程偏心の度合が大きくなります。 言い換えると、耐力壁等の水平抵抗要素の平面的な偏りの大きいことを表しています。 重心とは建物平面形状の中心です。 剛心とは水平力に対抗する力の中心です。 ※2000年(平成12年)の建築基準法改正において、木造住宅においては『偏心率は0.3以下であること』と規定されました。 |
|
![]() |
![]() |
図. 偏心の大きい建築物 |
|
| (2) 偏心率の定義 |
| 偏心率Reは、建築物の各階各方向別にそれぞれ考えますが、具体的にどのように求めればよいかを以下に説明します。まず、建築物の1つの階について、その 方向及び偏心距離を下図のようにとります。座標はどのようにとってもよいのですが、ここでは平面の左下隅を原点としてあります。 |
![]() |
![]() |
![]() |
| (3) 偏心率の計算方法 |
①重心(Gx,Gy) 各階の重心は、鉛直荷重を支持する柱等の構造耐力上主要な部材に生ずる長期荷重に よる軸力及びその部材の座標X,Yから計算されます。ただし、木造軸組工法においては、各階共、固定荷重、積載荷重等が平面的に一様に分布していて、偏り がないものとして、平面の図心が重心に一致すると仮定します。 |
ここで、 A:分割された長方形の個々の面積 ∑A:分割された長方形の面積総計 X:分割された長方形の重心X座標 Y:分割された長方形の重心Y座標 |
②剛心(Sx,Sy) 耐力壁等の耐震要素の各計算方向(X方向及びY方向)の水平剛性をLx,Ly、その座標をX,Y、剛心の座標をSx,Syとすれば、各階の剛心は下式より得られます。 |
ここで、∑はX方向又はY方向に有効な耐震要素についての和をとります。各耐震要素の座標X,Yは、それらの要素の座標を採って構いません。 ※ Lx :X方向の有効耐力壁長さ 壁実長×壁倍率(注1) Ly :Y方向の有効耐力壁長さ 壁実長×壁倍率 |
③偏心距離(e) 偏心距離は、重心及び剛心の座標から次式のように計算されます。 |
④ねじり剛性(KR) 次に各階の剛心(Sx,Sy)周りのねじり剛性を計算します。これは、各階ごとに1つ得られます。剛心周りの計算になるので、座標の平行移動を行い、剛心を座標原点とします。 剛心周りのねじり剛性KRは、 |
となります。 ⑤弾力半径(re) reは弾力半径と呼ばれるもので、X,Y方向検討時のものをそれぞれrex,rey、とすると、次式で与えられます。 |
⑥偏心率(Re) これらの値を用いて、X,Y各方向に対する偏心率は、これをそれぞれRexおよびReyとすれば、 |
によって求められます。偏心距離ex、eyについては添字が検討方向と逆になっていることに注意が必要です。
|
![]() |
| 軽い屋根の場合: |
ここで x1i,x2i(y1i,y2i):1階、2階の平面を長方形に分割した時の各長方形の対角線の交点のx座標(y座標) A1i,A2i :同じく各長方形の面積 重い屋根の場合: 上のGy,Gxの式で、係数11を15に置き換える(18はそのまま) なお、上式の中で、11(または15)、18という係数は、屋根部分の単位面積あたりの重量と、2階部分の単位面積あたりの重量の違いを考慮するための重みづけの係数です。 |