| 耐震診断をめぐる動向 |
| ◆地震動予測:長周期の地震波、予測に生かし減災 P波とS波の間にある「W波」に注目 |
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地震予知とは違い、地震発生後に揺れの大きさを予測し地震や津波による被害を抑えようという研究が進んでいる。人が揺れを感じない長周期の地震波を利用して巨大津波を予測したり、気象庁の緊急地震速報をより早くできないかという試みだ。地震動予測で減災につなげる研究を探った。【関東晋慈】 ■揺れなくても警報 92年9月に発生したニカラグア地震(マグニチュード=M=7・6)。津波の高さは15メートル、4階建ての建物の高さに達した。被害のほとんどは津波によるもので、死者・行方不明者は200人近くに上った。揺れは小さくても、大きな津波を伴う「津波地震」と呼ばれるタイプだった。 米カリフォルニア工科大の金森博雄名誉教授(地震学)は、この地震の解析を続け、人が揺れを感じる短周期(1秒以下)のP波(縦波)やS波(横波)の間に、周期200~1000秒の長周期の地震波を見つけた。「W波」と名付け、津波との関連を指摘したが、当時はアイデアにとどまっていた。 04年12月に津波などによって22万人以上の犠牲者を出したスマトラ沖大地震(M9・2)が発生した。これ以後、津波予測の必要性が高まり、金森名誉教授は本格的にW波に取り組んだ。数値計算の専門家の協力を得て、W波の周期と振幅から、津波の大きさを求めるプログラムを開発した。 金森名誉教授は「新手法は、コンピューターと地震計のデータを送信する手段というテクノロジーの進歩の成果。現状の観測装置で利用できる」と説明する。 ■気象庁が勉強会 日本では1896年に東北地方の三陸沖で発生した地震(M6・9)による「三陸大津波」が典型的な津波地震として知られている。沿岸各地の揺れは震度2~3だったが、約30分後に最大で40メートル近い津波が発生。約2万2000人の死者を出した。 現在の津波予測は人や家屋の揺れに影響を与える短周期の地震波に基づいている。気象庁は地震発生後、津波による災害の発生が予想されると、津波警報(1~10メートル以上)・注意報(0・5メートル程度)を、約3分を目標に発表する。津波の到達時刻や予想される高さなどの津波情報を知らせる。だが、長周期の揺れに特徴を持つ津波地震による津波を正確には予測できない。 気象庁は今年、「津波予測技術に関する勉強会」を開き、W波に注目した。津波を伴う地震の1割に満たない発生頻度だが大きな被害を及ぼす津波地震の予測と、東海・東南海地震などによる巨大津波の被害を減らすことを目指す。 座長を務めた佐竹健治・東京大地震研究所教授(地震学)は「W波は津波地震を検知するために有力な情報になる。利用法の早期の実用化を検討すべきだ」と指摘した。気象庁地震津波監視課も近く導入する考えだ。導入されれば現状のシステムでは小さく予測してしまう津波地震や、M8以上の巨大地震による津波を正確に予測できるようになる。地震発生から警報までの時間は現状と同じ2~6分で出せるという。 ■より早い速報目指し 地震の揺れを予測し被害を抑えようという試みは、気象庁の「緊急地震速報」で実用化されている。昨年10月の本格運用以来、今年6月の岩手・宮城内陸地震など一般向けに計8回発表された。しかし、震源近くの地域で警報が間に合わない。 速報の仕組みは、震源から毎秒6~8キロで進んでくるP波を複数の地点で観測し、揺れを予測する。地震探知から3秒以内に発表することが目標で、岩手・宮城内陸地震の3・5秒後が最速の発表時間だ。 緊急地震速報の開発に携わった中村豊・東京工業大連携教授(人間環境システム)は、より早く速報を出す研究を進めている。1地点の観測結果で、M7以上の危険な地震かどうかを判別できる地震計を開発した。P波を検知すると、0・2秒後にはその揺れの大きさから、その後に来るS波が一定以上の揺れをもたらすかどうかを予測できる。 中村連携教授は「予測技術は数十年前から確立し、気象庁が持っている装置でも実現可能だ」と話す。これに対し、気象庁管理課は「一般国民への警報は信頼性が欠かせない。2地点以上の観測に基づくと規定しており、今のところ変更などの予定はない」という。 一方、金森名誉教授は「日本では地震予知の研究が盛んだが、地震動を予測する研究も欠かせない。間違える場合もあるため警報を出すことに批判もあるが、減災につながる基礎研究を続けることが重要だ」と指摘する。 |
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(2008年11月9日 毎日jp)
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