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タイトル 耐震診断をめぐる動向

◆「良質」の維持、成長を左右 中古住宅好調は本物か
 

日本でも中古住宅の流通市場が育つ期待が高まっている。民間の調べでは、今年7~9月期の首都圏での販売件数は6万361件と前年同期比27.8%増加し た。前年実績を上回るのは5四半期連続。景気悪化から所得が伸び悩む中、販売価格が高騰した新築マンションから消費者が流れているためという。

  とはいえ、日本の中古住宅市場は欧米に比べて小さく、国土交通省の推計では十数万戸と、住宅市場全体の1割にすぎない。9割の英国、8割の米国 に到底及ばない。少子高齢化が進むと新築住宅需要が期待できなくなるため、政府も中古住宅市場の育成をバックアップする方針。そのためには「200年住 宅」のような長く住める住宅づくりや、良質な中古住宅の確保が不可欠でリフォームなど関連市場の拡大も見込める。

 ≪決め手は安さ≫

 「中古マンションへの入居は購入価格の安さが決め手になった」

 こう語るのは大阪府池田市に住む主婦(34)だ。築13年になる6階建て中古マンションの4LDKの部屋を購入したのは2年前。価格は2350万円で、頭金はなく、全額夫名義のローンを組んだ。

 幼い子供が2人おり、広い間取りは譲れない条件。しかし、近隣で4LDKの新築マンションとなると、価格は5000万円程度で到底手が出ない。そこで、中古物件を選ぶことにしたという。

  しかし、入居にあたり中古ならではの問題に直面した。前の入居者の使い方が荒く、壁紙はあちこちが破れ、キッチンや風呂はひどく汚れていたこと だ。430万円を払ってリフォームしたが、本格工事を施したおかげで「気持ちよく生活できるようになり、他人がかつて使っていたことは気にならなくなっ た」と喜ぶ。

 この主婦のように、新築よりも中古住宅を選ぶ消費者が最近増えている。東京カンテイの調べでは、中古住宅販売の増加は続いており、7~9月の首都圏での販売件数は前年同期より27.8%増加した。

  理由は価格の安さだ。9月の平均価格は3054万円と新築マンション(4467万円)の3分の2。新築は高額が嫌われて契約率は低迷。9月は 60.1%で前年同月比5.8ポイント下落し、好不調の分かれ目となる70%を2カ月ぶりに下回った。中古住宅購入の最大のメリットである低価格が受け入 れられていることが分かる。

 ただ、大手デベロッパーでは今のところ、中古住宅の販売増が好業績として跳ね返ってきていない。三井不動産の場合、2008年4~6月期連結決算で「仲介」の売上高は128億円と前年同期比5%減少した。

  日銀が発表した10月の主要銀行貸し出し動向調査によると、資金需要の強さを示す「資金需要判断指数(DI)」は、個人向けがマイナス5で、前 回7月のプラス3から8ポイント悪化した。住宅ローンの申し込みが減っているのが主な理由だが、金融危機をきっかけに個人への融資審査が厳しくなっている 傾向もあるという。

  このため、「新築価格に見合うローンが組めず、中古でしかローンを組めない消費者が増える」と予測する関係者もいる。また、景気の冷え込みで所 得水準が落ち込めば住宅ローンを払いきれずに住宅を手放さざるを得なくなる消費者が出てくる可能性もある。そもそも消費意欲が後退しており住宅購入どころ ではない。

 ≪価値上げる手入れ≫

 こうしたことから、日本でも中古住宅の取引が本格化すると期待する声も上がる。では、なぜ日本でこれまで中古住宅市場が育たなかったのか。その理由について、さまざまな指摘がある。

  ある業界関係者は「日本人は自分がつけた汚れは許せるが、他人の汚れは許せない」と説明する。また、戦後、人口増を前提に、国が住宅のストック より新築に政策の重点を置いてきたことなども大きな理由だ。日本は築25年ほどで住宅価格がほとんどゼロになるが、米国ではリフォームを施すごとに価格が アップする。この“文化”の違いは大きい。

 しかし、日本でも、少子高齢化が進むと、住宅を新築し供給するビジネスモデルは崩れるとみられる。

  このような考えを背景に、政府は中古住宅市場の拡大をバックアップする考えで、06年に閣議決定された住生活基本計画では、取引シェアを03年 度の13%から15年度には23%にまで伸ばす目標を提示。「200年住宅構想」を掲げ、長期にわたって使用できる中古住宅が十分流通できる仕組みづくり を進めている。

 こうして中古住宅市場が活発化すると、リフォームや住宅の長期使用に対応した商品の開発など住宅関連市場の活性化が期待される。

 すでに「リフォーム分野は好調」(住友林業の矢野龍社長)とされる中、外壁材メーカーが汚れを雨で洗い流す機能を持った壁材商品を強化するなど関連業界でも「より長く美しく住宅を利用する」ニーズに応える動きが出てきた。

 ≪新築の値崩れ≫

  ただ、懸念材料もある。新築マンションの売れ行きが鈍り、業者が在庫調整を進めるため、2~3割という大幅な値引きを始めたことだ。このままで は中古住宅のメリットである安さが薄れかねない。一生に一度の買い物だけに、より良質な物件を手に入れたいのは人情。新築に値ごろ感が増せば、再び中古か ら新築に消費者が移る可能性も指摘されている。

 

(2008年10月28日 フジサンケイ ビジネスアイ)
 




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